(この物語は実際の作業工程を追ったものですが、登場人物とその会話は一部フィクションです。)


エンジンをOHする前は少々モッサリとした回り方で、「昔のバイクだからこんなもんかな」という感じだったが、OH後はパンチが出たと同時に荒々しさが出てきた。
何たって、ハイカム、ハイコンプ・ピストン、CRキャブなんだから。
しかし、OH前のセッティングでは明らかに薄すぎる。「じゃあ、濃くすればいいじゃないか」というほど簡単なものじゃない。
サーキットでも走るんなら或る面やりやすいんだが、これで街中を普通に走りたいという事になると、ちょっと簡単じゃ無くなってくる。


とにかく、濃くしなくちゃまともに走らないので、まずはMJを大きくしてと・・・。

MJ#100を#110に。まだ足りない感じだが、次にPJを#55から#60に。
これもちょっと足りないようなので#62に。この方が良い。
MJを#120に。これは良い。良いんだが「普通に街乗り」だと少々厳しいか?

全体にかなり濃い目にした方がトルクがモリモリ出る感じで、飛ばしているとそれは気持が良いんだが、ちょっと油断してるとカブリぎみになってきちゃう。

セッティングはとにかく時間が掛かる。
走ってはキャブをばらし、セッティングを変えてはまた走る。
もともと、ハイカム、ハイコンプ、レーシングキャブで街中を普通に走ろうという事自体が無理なのかもしれない。
しかし、どこかに妥協点があるはず。それを懸命に探る。


途中経過は省略して結論だけいえば、あまり高回転は回さないという前提でMJは#110。PJは#62。ニードルのクリップは3段目。

実は途中で油面もいじってみたがこれは失敗。
CRキャブのプロに聞いてみたら、「油面はいじっちゃダメ」なんだそうである。

そのプロ曰く、「安定したアイドリングや低速でのスムーズさを求めるならCRキャブには手を出さない方が良い」
全くその通りなのは分かっているんだが、もう付けちゃってるんだからしょうがない(?)。

ともかく、上記セティングで何時でも何処でも普通に走れて、しかも飛ばすとCRキャブらしさもあるという、一応合格80点くらいには仕上がった。
この作業、満タンだったタンクがカラになるまでかかった。やれやれ・・・。


ちゃんと走るようになって、最後まで気にはなっていたがやり残していたリヤブレーキを・・・。



ブレーキが利かないのはキャリパーのせいもあるけれど・・・

この短いブレーキペダルが大問題。

フロントと同じロッキードのクラシックなタイプ。
ホースまで入ってるフルセット。
ペダルは今回は見送り。
大丈夫かな?

取り付けはボルトオンで簡単。
当たり前のようだがこれは大したもの。
特に海外製品で無加工で取り付け出来ることはマズ無い。

さて、ブレーキの効きは?
これは良くなった。しかし、出来たらペダルも変えたいな、というところ。
でもケンジ君「これで充分、もともとリヤブレーキはあんまり使わないから」ということで
これにてZ再生は完了!


ケンジ君は来る時はしょっちゅう来るが、来なくなるとパッタリ来なくなる。まあ、無事に走ってるんだろう。何かあればまた電話でもして来るだろうし。

それからしばらくたったある日、見慣れぬハーレーが店先に。
あれっ?ケンジ君、どうしたの?「いや〜、これ衝動買いしちゃって。今度はこれのキャブを○○に換えて、それからホイールを△△に・・・」
・・・(汗)。

ケンジ君はこんな面白い人です。また機会があれば「ハーレー改造記」でお目にかかりましょう(???)。


*Z再生記 完。