■シリンダー・チューニング

*KX80,85共通のシリンダー・チューニングをご紹介

 このシリンダーは85のものですが、80でもポートの形状はほとんど同じなので、チューニングの基本は一緒。
 まずはシリンダーに付いている部品は全て外す。スタッドボルトを取ってあるが、これは作業の邪魔になるのと、面研にボーリング屋さんへ出す為。
 このシリンダーはボーリング屋さんから帰ってきた面研済の物。上面が光っているでしょう。いつも頼んでいるこのボーリング屋さん、腕も良いけど仕事が速いのがとっても助かります。
 ところでこの面研、シリンダーの高さを80,6ミリにする。通常は0,2ミリカットで良い筈だが、一応正確に計っておいた方が良い。
 加工前の排気ポート。
 排気側はそんなに大きくは削らない。
 荒削り終了の状態。
 出口の拡大はしていない。バリ取りと排気通路の左右を若干広げるだけ。ポートタイミングを変えることは一切やっていない。
 

 もともとリッター300馬力を超えるレーシングエンジンなんだから、これ以上高回転型にしてもしょうがない。最高速チャレンジマシンを作るわけじゃないし。

 それよりポートの寸法って、けっこうバラツキがあるのでこれをメーカーの設計どうりになるように修正する。
 とはいえ完璧はまず無理なので、程々でよしとしよう。
 この後、指を棒にして(?)耐水ペーパーで磨く。
 加工前の吸気側。
 こちら側はけっこう削るところが多い。
 左右の吸気ポートを見てください。大きさが違うのが分かります?
 これを同じにする、と言うのは簡単、やるのは大変。
 
 こちらも、タイミングは変えないように。
 ひたすら削る。
 後ろから、上から、下から。少し削っては良く見て、また削っては指で撫ぜ。
 少しずつ作業を進めるのが大切。
 一気に一箇所を削ったりすると失敗のもと。
 吸気側の荒削り終了。
 向かって右側のポートが大きくなった。形はほぼ一緒。全く同じにはなかなか難しい。ほぼで我慢しよう。

 昔、メッキシリンダーが出始めのころのポート加工は、メッキの剥がれに細心の注意が必要だったが、最近のカワサキのシリンダーは心配いらない。(他メーカーは知らない)

 この後バリを削り、ブリッジを少々細くしたりした後は、手仕上げ(指仕上げ?)する。
 掃気ポートはバリ取りと表面の仕上げのみ。
 ここのカーブの形を変えるとエンジン特性が大幅に変わってしまうことがあるので、手をつけないほうが無難。

 勘でいじって良くなる保証は無い。

 シリンダーを3〜4個提供してくれるなら実験してみるが、お客さんのシリンダーで試すわけにはいかない。
 じゃあ自分のでやってみろ?ん〜考えときます。
 一通り削り終わったら、設計図(?)と照らし合わせて寸法チェック。
 足りない所があればまた削る。
 とにかく削り過ぎないように。少しづつ削って確認、この繰り返しが大切。
 「過ぎたるは及ばざるがごとし」なのです。

 仕上げではポートのふちの面取りは確実に、かつ必要最小限に。あんまり念入りに面取りするとタイミングが変わっちゃう。
 また、排気、吸気のポートのブリッジのシリンダー面は軽く磨いておいた方がいいが、自信が無ければ触らない方がいい。
 これは、オマケ。
 ついでにヘッドも光らせておきました。

 このチューニング、ちゃんと設計図どうりに仕上げれば、高回転でフラットにトルクが出て、軽く回るいい特性になる。
 ただし点火時期も含めたセッティングは必要。まあこれはノーマルエンジンでも同じ事だけど。
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