(この物語は実際の作業工程を追ったものですが、登場人物とその会話は一部フィクションです。)
それは一本の電話から始まった。
「ハイ、ボンバーです」「ご無沙汰してます、ケンジです。覚えてますか?」「やぁ、久しぶりだねぇ。もちろん覚えてるよ。10何年ぶり?」「15年ぶりです」
ケンジ君が出入りしてたのは彼がまだ高校生の頃、今では一児の父だそうだ。
「それで、今日電話したのは久しぶりにZを動かしてやりたくなって・・・。」「えっ?だってあの頃乗ってたZ2は手放したんじゃなかったっけ?」「ええ、でもその後すぐまた手に入れてちょっと乗っただけでしまってあったんです」「Z2を?」「いやぁ、Z2じゃないんですけど・・・」
当時の彼はZ2改のすごいのに乗ってて、いろいろなエピソードも有るんだがそれはまた今度。
「OK、すぐ取りに行ってあげるよ」という訳で引き取りに行くことに。
しかし、これが大変な代物で・・・。 |
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夜、引取りに行くとそのバイクはちゃんと屋根付きのガレージの奥に置いてあった。
一見Z2、しかし、「そうなんです、FX-1なんですよ」とケンジ君。
FX-1の角張った形がイヤでZ2の外装を載せたらしい。
「さて、それじゃあトラックに積もうか・・・、あれ?動かないぞ」「そうなんですよ、僕も動かそうと思ったんですけどタイヤがロックしてて・・」「オイオイ、早く言ってよ」
フロントブレーキがロックしているので、とりあえず応急処置。力技でピストンを押し込んで「積むまでブレーキ掛けちゃだめだよ」とケンジ君にも手伝ってもらい何とか積み込み成功。
「ホコリはすごいけど雨に当ててないから大丈夫じゃないかな」と思ったのは夜だったから。翌日明るいところで見ると・・・。
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これがロックしていたFブレーキ。
トラックから下ろす時レバーを握ったらまたロックしてしまった。 |
インナーチューブのサビもけっこうひどい。
ほかのサビも・・・。 |
リヤブレーキはフロントとは逆で全く効かない。
タイヤは溝は有るけれど・・・。 |
エンジンは「10年くらい前に一度掛けた事がある」らしい。
「う〜ん・・・」 |
翌日ケンジ君に電話 「ケンジ君、けっこうひどいよこれ」「とりあえず、なるべく安く車検だけ取ってもらえませんか?」
ケンジ君、今は仕事も順調でお金が無い訳じゃないのに、昔の貧乏学生の頃と言う事は変わっていない。昔は自分で何でもいじっていたが今は忙しくてそれどころじゃないらしい。
「それじゃ、最低限必要な整備で車検を取るから、走らせて問題が出たらその都度手を入れよう」
「それでお願いします」
という訳で整備が始まりますが・・・。 |
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