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改め Part−T

*「KX80スペシャル」改め「KX85整備日記」。ただ単にKX85に乗り換えたので題名を変えただけ。内容は一緒です。


■フロントフォークをオーバーホール

*フロントサスの動きをもう少し良くしようとオーバーホールをしてみました。


(突き出し量を測る)

トップキャップを外す

まず、フォークを抜く前に突き出し量を測っておく。自分のバイクの場合で突き出し量を覚えていれば、いきなり外しても構わないが、確認はしておいた方が良い。今回も、10mmにしてたと思っていたが、8mmになっていた。なんでだろ?カートリッジのロッドからトップキャップを外す時は、スプリングを押えておく特殊工具がいるが、無くても出来ない事は無い。


(あれ、キレイだ)

(底のボルトを)

(緩めて)

(外す)

トップキャップを外したら、カラー、スプリングを外し、オイルをぬく。走行10時間位だと汚れはこんなもの。しかし、新車時に入っているオイルは数ヶ月経っている可能性がある。抜いてみると粘った感じのオイルが出てくることが多い。これは水分が混ざってしまっているから。今回もそうだった。理想は新車でも走る前にオイル交換だが、ちょっと勿体無いじゃない?底のボルトを外すと、これがダンパー(圧側)調整のバルブ。ここに汚れが溜まってオリフィス(小さな穴)が詰まるとサスの動きが悪くなる。尚、このバルブを外すにはカートリッジを押えておく特殊工具が必要。これは無いとちょっと無理。

底のボルト(バルブ)を外すとカートリッジが外れる。
ここまでバラさないとオイルが全部はぬけない。
オイルをぬいたら良く洗浄し(パーツクリーナーを大量に使う)、乾燥させる(エアーガンでガンガン吹き飛ばす)。
カートリッジとバルブはこう付きます。

オイルを完全にぬいて、カートリッジもバルブもキレイにしたらバラした逆の順序で組んでいく。特に難しい所は無いが、底のボルト(バルブ)の締め過ぎには注意。できればトルクレンチを使いたい。


(オイルはこれを使う)

(ゆっくりと)

(レベルは標準)

オイルはゴールデンスペクトロの柔らかい方を使う。純正とどっちが良いか?は、好みの問題。今回は、とにかく動きを良くする方向の実験。油面を正確に計る為にはエア抜きが大切。ロッドを上下させてエアーを抜くのだが、このとき大切なのはゆっくり動かすこと。早く動かすとかえって泡を立てている事になってしまう。オイルレベルの調整はこの注射器みたいな物で余分なオイルを吸って合わせる。油面レベルは標準。あんまり何もかもいじっちゃうと、どれがどう効いたか分からなくなっちゃうから。実験をする時は一つづつ。

カートリッジまでバラすのに必要な工具。
左から、カートリッジを押える特工、トップキャップを外す30mmのBOXレンチ、スプリングを押える特工、底のボルト(バルブ)を外す14mmのヘキサゴンレンチ。
もちろん、これ以外に普通の工具も使います。

《インプレッション》
試乗コースは、表面はサンドだが中は堅くて凸凹という、サスのテストには最適(?)なコース。最初は、圧側ダンパーは従来どうりの16段戻しのままで走り出す。ペースを上げ始めるとフロントがギャップに当たった時の動きが、従来は「グシュッ」という感じだったのが「スカッ」と入るようになった。初期の動きはこれで良いが、中間付近が動きすぎるのでダンパーを12段戻しに。これで、全体に動きが良くて腰があるといういい感じになった。油面は10mmくらい上げても良かったかな、とも思ったが、このままでも充分満足いく結果となった。今回、リヤは全く手を付けなかったが、今まではリヤは動くがフロントが突っ張っている感じだったのが、前後の動きがそろってきた。フロントはこれでOK。次はリヤだな・・・。


■ピストンをWPC処理 partT


(WPC処理前)

(WPC処理後)

WPC処理とは簡単に言うと、超微細なショット(砂みたいな物)を超高速で吹き付けて金属表面に微細で硬度の高い凸凹を作る、という処理の事。この凹部分に潤滑油を保持する事により、摩擦を減らし、摺動性を向上させ、なおかつショットを叩きつけることにより圧縮残留応力が高まる為、金属疲労強度が上がる、という事です。良く分からない?詳しくはwww.wpctreatment,comをご覧下さい。何はともかく、これは良さそうだと思ったので早速試してみる事に。


 走行時間約10時間の私のKX85。
ピストンはこんな感じ。
思ったよりリングが抜けてる。
当りは良好。

吸気側も当りは良好。
変える必要は全く無いが、WPCの実験という事で。

プラグは・・・、お恥ずかしい。真っ黒。
キャブを絞るよりアクセル開けろ(?)。

*作業内容は単なるピストン交換。「KX80スペシャル、ピストン交換」と同じになってしまうので、途中経過は省略。


■ピストンをWPC処理 partU

*やっとエンジンを開けてみました。前に使ってたピストンと比較したかったので、同じく10時間くらい走ってからと思っていたんですが、練習に行く回数が減ってしまってなかなか10時間にならず、ずいぶん時間が掛かってしまいました。さて、その結果は・・・


(10時間走行のWPC処理ピストン、処理面はほとんど残っている)
耐久性は間違いなく上がっている。
ノーマルの何倍持つかとかは分からないが、ノーマル10時間走行のピストンと比べると明らかにキズの入りが少ない。
さて、走行性能の「走ってどうなんだ?」という部分では正直言って違いが分かりませんでした。
これはライダーの問題かもしれない。
しかし、ピストンピンをピストンに入れる時のノーマルと違う感覚(ヌルッと入る)は、潤滑性能の高さを感じさせる。

結論としては、耐久性は上がる。でもせっかくやるなら、シリンダー・ピストン・ピストンリングの3点セットでやりたい。そうすればエンジンを開ける回数はノーマルの半分以下ですむんじゃないかな。残念ながら、走行性能のほうは体感できなかったが、これはライダーが分かる人なら違いが分かったかも知れない。「違いの分かる男」に乗ってみてほしかった?


追記。WPC処理は本来、高負荷・高回転の部分の方が効果が大きい。具体的には4stのカムとカムホルダー、クランクとメタル(プレーンベアリング)等。過去に4stでこれらの処理をした事があるが、体感的にも測定してもパワーが上がった。
その他、ギヤの入りが異常に硬い、ある外車のミッション周りをWPC処理したら大変効果があった。要は適材適所の使い方か。


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